性懲りも無く、誰にぶつければ良いのか分からない日ごろの思いを書きます。
こないだの「『全』の概念は統一してほしかった」に続いて、日本語の話です。
日本語って難しくて、
「本来の使い方じゃなくて誤用のほうが市民権を得ちゃってる言葉」
ってないですか?
そういう日本語を見聞きすると、1mmだけ気になっちゃうんですよね。
今回は、僕が普段あまりに遭遇することが多すぎて
と言いたくなる言葉を厳選して3つ紹介します。
あなたは、使ってしまっていませんか?
前提:カジュアルなシーンでは厳密さは要らないが、知識自体は必要
初めに断っておきますが、別に「日本語警察」気取りで取り締まりたいわけじゃないんです。
だから
「誤用だとしても、皆が同じ意味で認識できるならそれで問題ない」
と思ってますよ。
特に友人と他愛無い話をするシーンなんかでは、厳密にやり過ぎても逆に伝わりづらいだろうし。
ただ、ビジネスなどのフォーマルな場面では、やっぱり正しい使い方ができるに越したことはありません。
当たり前のように間違った日本語を使っていると
「コイツはデキないな…」
なんて思われてしまうかも知れません。
「相手からどう見えるか」に配慮した演出も、お客さんに価値を感じてもらうのに必要な要素です。
車を整備に出して返ってきたとき、シートにカバーがかかってることがありますよね。
あれは、お客さんが乗るときまで外さないことで
「汚れないよう丁寧に取り扱ってますよ」
というサインを感じ取ってもらうのを目的としているんだと思います。
日本語もこれと同じで、
- 「できる人だな」
- 「知識のある人だな」
というのを演出したい場面では、きちんとした用法を守れたほうが得します。
誤用が多すぎる日本語①「鑑みる」
個人的には、これがもうダントツで1位。
「かんがみる」と読みます。
日常ではあまり使わない言葉ですが、ビジネスの会議やメールなんかでは結構見聞きしますね。
ところが正しく使われているのを見聞きした経験は、片手で足りるくらいしか無い気がします。。
あとはぜーんぶ、同じ間違え方をされちゃってます。
例えば、
「昨今の消費動向を鑑みて、A案を採用しました」
みたいな使い方ですね。
これは完全に誤用です。
先例や手本などに照らして考える。
例)「前例に鑑みると、この仕組みではユーザの不満が多いと考えられる」
つまり、さっきの誤用を正すと
「昨今の消費動向に鑑みて、A案を採用しました」
というふうに助詞が変わってくるわけですね。
もしくは、変に色気を出さずに
「昨今の消費動向を考えて」
とか
「昨今の消費動向を踏まえて」
のように、
簡単な言葉で表現したほうが伝わりやすいかも知れませんね。
誤用が多すぎる日本語②「とんでもございません」
これもかなり多いですね。
仕事上で関わりのある人との会話でよく耳にしますが、日常でもたまに店員さんとかから聞くことがあります。
正しくは
「とんでもないです」
「とんでものうございます」
「とんでもないことでございます」
のどれかですね。
「とんでもない」でひとかたまりの形容詞。
つまり、「とんでもございません」と言ってしまうのは
- 「もったいない」を「もったいございません」と言っている
- 「儚い」を「はかございません」と言っている
というのと同じってことです。
へりくだりたい気持ちから「とんでもございません」と言ってしまう気持ちは分かりますけどね。
意識して言っているというよりは、無意識的な「言い方のクセ」みたいに聞こえます。
…でもまぁ、実際に言われるとやっぱり違和感を感じてしまいます。
誤用だと知っている人に対して使ってしまって恥をかかないよう、気をつけましょう。
誤用が多すぎる日本語③「ら抜き言葉」
これも一般的に使われていますが、本来日本語としては誤りです。
可能の意味を表すときに、本来必要な「ら」を抜いて表現された言葉。
例)
「○見られる→×見れる」
「○食べられる→×食べれる」
など
ただ、これは厳密にやろうとすると課題が2つあると思ってます。
状況に応じて、上手く使い分けるのが良さそう。
課題① カジュアルな話し言葉では「ら抜き」のほうが語感が良い
たとえば
みたいに言う時ってありますよね。
こういうカジュアルなシーンでは「ら」がないほうが自然なコミュニケーションになる気がします。
いちいち全部正確に「ら」を付けだしたら、お互いにだいぶ話しにくくなりそうですよね。
ただ、文書や資料、フォーマルな会話なんかでは文法的に正しい表現を使ったほうが無難でしょう。
課題② 受け身の表現とかぶっている
例えば、「見られる」というと
- 見ることができる
- 誰かに見られる
という2つの意味がありますよね。
もちろん、文脈で判断がつくことがほとんどです。
しかし会話の流れで主語や目的語が省略されると、どちらとも取れるケースも出てきます。
突飛な例えですが…
「お忍びデートで曇天のなか花火大会に行った」としましょう。
って言われたらどうでしょう。
すると
- 曇ってたけど、花火を見ることはできた?
- デート現場、誰かに目撃された?
のどちらとも取れますよね。
まぁ、「ややこしくなるくらい省略しちゃう側もどうなの」って話ですが。。
ちょっと例えがピンポイントすぎたけど、そんな感じで分かりづらくなるケースもゼロじゃありません。
余談:「ら」を付けるべき動詞の見分け方
- 「動詞+ない」という否定の言葉を作る
- 「ない」の直前の文字に注目する
- その文字がア段なら「ら」は要らない
それ以外の段なら「ら」が要る
という手順で判別できます。
たとえば、「着る」で考えてみましょう。
- 「着ない」
- 「き」ない
- 「き」はイ段なので「ら」が要る
つまり、可能の意味にしたかったら「着られる」が正しい(「着れる」は間違い)ってことです。
これで迷うことはなくなるので、知らなかった人は活用してください。
番外編:誤用だと思っていたけど誤用じゃなかった日本語
実は、今から紹介する2つはもともと本編に入れるつもりだった言葉たちです。
ところが調べてみると誤用ではなかったので、急遽番外編にしました。
もし僕と同じ勘違いをしていたら、ここで覚えちゃいましょう。
誤用じゃなかった日本語①「情緒ある」
「情緒ある景色」
「情緒あふれる街並み」
なんて言い回し、聞いたことありますよね。
この「情緒」の使い方は誤用だと思っていました。
なぜなら
情緒=感情
だから。
それを言うなら
「風情のある景色」
とか
「情趣あふれる街並み」
だろう、と。
これらは「おもむき」とか「味わい」という意味なので。
「趣のある○○」なら分かるんだけど…と思ってました。
でも、これは僕が間違っていました。
「情緒」という言葉には、「感情」という意味だけでなく
「それ(感情)を起こさせる特殊な雰囲気」
という意味もありました。
ちょっと字面と意味がつながりにくいんだけど…
であれば、さっきの
「情緒ある景色」
「情緒あふれる街並み」
も、意味が通るので納得です。
誤用じゃなかった日本語②「的を得る」
こちらは、「誤用じゃない」というよりは「誤用じゃないという認識も広まってきている」という感じです。
オリジナルとしては「的を射る」が正しいです。
こだわりがなければ、こちらを使ったほうが無難であることは間違いないですね。
この「的を射る」「的を得る」問題は、かなり長いこと議論が続いていて、賛否両論あるようです。
↓のサイトで詳しく記載されているので、気になる方は見てみてください。
日本語は難しい。でも、だからこそ楽しい…
コメント欄を見てみると、「みんな色んな考え方するんだなぁ」という感じで面白いですよ。
僕個人としては、やっぱり「的を射る」のほうが直感的にしっくりきます。
最後に:全部を追いかけてもキリがないけど調べることも必要
今回、調べ物をしながらこの記事を書いていて思ったことがあります。
日本語、奥深すぎ。
何もかも正確にやろうとし過ぎると、マジでキリがなさそうです。
ただそのぶん、ちょっとでも調べてきちんとした日本語を使えれば、周りと差をつけられるかも知れないですね。
言葉を崩すにしても、
「知っていて崩す」
と
「知らずに崩れてしまっている」
だと、やっぱり表現の幅が違う気がします。
懐の深い人間になりたいじゃないですか。
また気になる日本語があったら記事にしようと思います。
ではまた別の記事で :)